月が替わりましたので、先月分の発電実績を振り返ってみます。
先月の太陽光発電事業における不労所得は435,927円(グロス)でした。
2019年12月から、本業である会社員生活の傍ら、野立て太陽光発電事業を運営しています。会社員生活と無理なく両立できる範囲として、3基の太陽光発電所を運営しています。
太陽光発電事業は、その名の通り太陽光(日照)によって発電したすべての電気を、固定された単価で20年間電力会社に販売する事業で、過去十数年間の日照データーを基にある程度の売上予測を確保しつつ、事業リスクは適時適切なメンテナンスと保険によってコントロールできるという、我々雇われとしての立場のサラリーマンが起業するにあたって最も低リスクで始められる最善の事業活動であり、再現性がある方法(発電所の案件がある限り)のため参考にしてみてください。
1.太陽光発電での不労所得結果(先月分)
僕は栃木県に2基、茨城県に1基それぞれ出力49.5kWの太陽光発電所を設置しています。
発電出力が10kW以上の発電所は、発電したすべての電力を電力会社に販売(売電)できる、いわゆる全量買取制度によって運営します。発電出力が10kW未満の発電所(自宅の屋根に設置した太陽光パネルなど)では余剰電力買取制度といって、発電した電気のうち自宅で消費した分を差し引いた残り(余剰)を電力会社に販売(売電)します。
いずれの場合も固定価格買取制度(FIT)によって、電力会社に販売する電気の単価は固定となっており、10kW未満の発電所は10年間固定、10kW以上の発電所は20年間固定と定められています。このため、長期で売上単価を固定できる10kW以上の太陽光発電所を設置することが事業として適していることになります。
1-1.栃木①発電所(1号基)
栃木①発電所は、発電出力49.5kWの太陽光発電所です。
栃木①発電所 | |
太陽光パネル容量 (PV容量) |
109.80kW |
パワーコンディショナ容量 (PCS容量) |
49.5kW |
FIT単価 | 18円 |
出力合計109.80Kwの太陽光パネルを敷詰め、そこで発電した電気を送電線に乗せるために5.5kW出力のパワーコンディショナー9台で変換して売電しています。
2018年に認定を受けており、FIT単価は18円の発電所となっています。
1-2.栃木②発電所(2号基)
栃木②発電所は、発電出力49.5kWの太陽光発電所です。
栃木②発電所 | |
太陽光パネル容量 (PV容量) |
89.78kW |
パワーコンディショナ容量 (PCS容量) |
49.5kW |
FIT単価 | 18円 |
出力合計89.78Kwの太陽光パネルを敷詰め、そこで発電した電気を送電線に乗せるために5.5kW出力のパワーコンディショナー9台で変換して売電しています。
2018年に認定を受けており、FIT単価は18円の発電所となっています。
1-3.茨城①発電所(3号基)
茨城①発電所は、発電出力49.5kWの太陽光発電所です。
栃木①発電所 | |
太陽光パネル容量 (PV容量) |
100.80kW |
パワーコンディショナ容量 (PCS容量) |
49.5kW |
FIT単価 | 21円 |
連携時期 |
2020年9円 |
出力合計100.80Kwの太陽光パネルを敷詰め、そこで発電した電気を送電線に乗せるために5.5kW出力のパワーコンディショナー9台で変換して売電しています。
2017年に認定を受けた発電所のため、2020年9月に系統連系(売電開始)しましたが単価は21円のまま20年間売電できる発電所です。
1-4.発電結果
今月の各発電所の発電結果は次の通りでした。
1号基 | 2号基 | 3号基 | |
月間発電実績 |
6,868kW |
7,227kW |
8,677kW |
FIT単価(税抜) | 18円 | 18円 | 21円 |
売電金額(税抜) | 123,624円 | 130,086円 | 182,217円 |
販社による想定発電量 | 7,719kW | 6,410kW | 7,219kW |
達成率 | 88.9% | 112% | 120% |
今月は435,927円の不労所得(グロス)でした。
2.太陽光発電の経費
1基の太陽光発電所を建設するのにかかるコストは数百万~数千万円にも上ります。この費用を現金で支払えない場合は、当然借り入れをすることになり、僕の3基の発電所も金融機関等からの借り入れに頼って建設しています。
そのため、不労所得で得た売上から借入金の返済やそれに伴う利息の支払い、また発電所を運営していくための経費を支払う必要があります。
太陽光発電所3基をフルローンで建設した僕は、毎月の借入金の返済が407,000円、それ以外の運営経費(キャッシュアウト)が月あたり約88,100円要しています。
売上からこれらの費用を差し引いたた▲59,173円が今月の手残り(ネット)となります。昨年冬のマイナス期間は10月から2月がマイナスに沈みましたので、今回のマイ転は想定の範囲内ではありますが、キャッシュフローのマイナスは心理的に厳しいです(涙)
3.太陽光での不労所得の推移
各発電所の発電量の推移をグラフ化すると次のようになります。
3-1.3基合計の発電量と不労所得の推移
最初の売上開始から2年が経過し累積売電金額は1,000万円を超えました。
まだまだ発電所の建設に要した分の借金は残っていますが、元手500万円(そのうち発電所分は300万円弱)が2年で1,000万円を生み出した事実に、会社員生活だけでは決して味わえない事業という面白さを感じています。
3-2.栃木①発電所
2020年4月に連携した発電所です。梅雨時期と冬の時期は1,500kW/週、それ以外の時期は2,500~3,000kW/週で発電しています。
3-3.栃木②発電所
僕の運営する発電所としては最古参の2019年12月に連携した発電所です。発電所出力に対してあまり大きすぎない太陽光パネルの量なので、梅雨時期や冬時期など日照が得られない時期はとことん発電しない発電所となっています。
2-3.茨城①発電所
2020年9月に連携した発電所です。栃木①・栃木②が中国製のソーラーパネルを使っているのに対し、茨城①では日本産のソーラーパネルで構成しています。パネルメーカーの発電シミュレーション以上に発電しており、僕の運営する3基の発電所の最も稼ぎ頭になってくれています。
4.発電所購入時のシミュレーションとの乖離状況
4-1.シミュレーションって大事なの?
太陽光発電所の購入にあたっては、各販社から提示される発電シミュレーションを元に購入する/しないを判断することになります。
ところが、このシミュレーション値(想定発電量)は販社によってマチマチで、実際に運用してみるとピッタリ合っていることもあれば、毎月シミュ値以上の成績を叩き出す優等生もいれば、シミュ値に全く到達しない結果ばかりという劣等生もいるという、混合玉石の状況です。
これはひとえに、想定発電量を元に販売価格を逆算して決定しているという特有の値付け方法に起因しています。実際に僕が発電所を検討していたときにも、まったく同じ敷地面積でパネル量もパワコンも架台の重量も同じ、違うのはFIT単価だけという2つの発電所の価格に500万円以上も差があった提案書を受け取りました。
つまり、シミュ値が高ければそれだけ発電所を高く販売することができるため、多くの販社さんがギリギリの線を攻めてきますし、残念なケースだとシミュ値を盛っている(到底そんな発電量に達しない)ケースも散見されるわけです。
シミュ値を盛っているか見分ける方法については、別の記事で紹介したいと思います。
4-2.栃木①発電所のシミュ値比較
栃木①と栃木②の販社さんは同一ですが、同じ49.5kWのパワコンに対し、栃木①はおよそ110kWのパネルを積んでいるのに対し、栃木②は約90kWのパネルを積んだ発電所になっています。
単月の収支としては100%割れしている月もありますが、1年以上運営しているとおおよそシミュ値通り(100%)に収束しています。太陽光発電事業を開始してしばらくは毎日の発電量をチェックしながら一喜一憂しがちですが、20年間という長期に渡って結果は収束していくものと捉えるのが重要だと思います。
なお、2020年10月・11月には9台のパワコン中1台だけ故障するトラブルもありました。これはブログをやっていることで、週次や月次で状況をチェックするクセがついていたので早期発見ができました。
一喜一憂はしないほうが良いと言った舌の根が乾かぬうちに言うのもなんですが、想定よりも20%程度ダウンしたときは何かあると思って念のためにチェックするのも大事なことですね。
4-3.栃木②発電所のシミュ値比較
栃木②は栃木①と同じ販社さんだけあって、シミュ値ギリギリを攻めてきています。というか累積でのシミュ値比98%で停滞しています。パネルやパワコンは栃木①と同じものを使用しているので、単純に日照条件があまりよくないことが伺えます。
4-4.茨城①発電所のシミュ値比較
茨城①発電所は、栃木①・②とは異なり地場の販社さんから購入した発電所になります。こちらの販社さんではパネルメーカーのシミュレーション値を用いているためか、ディフェンシブな見積もりとなっており稼働来平均110%程度で推移しています。
想定を上回っていてラッキー♪と思いもしましたが、栃木①・②では設備代に含まれていたような支出が、この発電所では個別に支払う必要があるため、総合的な利回りとしては所有する3基のどれもあまり大きな差は無いというのが結論です(;´・ω・)
5.太陽光発電事業の今後
資源エネルギー庁のエネルギー白書にもある通り、固定価格買取制度によって日本の再エネ導入率は飛躍的に拡大してきました。
再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という。)は、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー源です。世界的には、再エネの導入拡大に伴い発電コストが急速に低減し、他の電源と比べてもコスト競争力のある電源となってきており、それがさらなる導入につながる好循環が実現しています。我が国においても、2012年7月に固定価格買取制度(以下、「FIT制度」という。)が導入されて以降、再エネの導入量が制度開始前と比べて約4倍になるなど、導入が急速に拡大してきました。
資源エネルギー庁『令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)』
その反面、2011年の東日本大震災後の福島第一原子力発電所問題に端を発して早急に誂えた仕組みであることは間違いなく、震災後10年を迎えて歪みが生じつつあります。
20年間の買取期間と単価は法で定められている以上、今すでに稼働している発電所に対して変更を与えることはないと考えられますが、今後は『発電側基本料金の導入』や『廃棄費用積立』など、いわゆる後出しじゃんけん式にコストが発生する可能性がありますので、その動向は注視する必要があります。
また、太陽光発電を取り巻く制度の他に、2023年10月から始まるインボイス制度においては、免税事業者は取引から排除されるから課税事業者にならないといけないという論調があるのも事実です。これについては、2021年3月の時点で個人的に考察してみた記事を上げていますので参考にしてみてください。