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インボイス制度が始まっても免税事業者制度はそのまま…なのかな?と考えてみた

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こんばんは。社畜リーマン兼太陽光発電家のもやしです。

令和3年2月22日に、国税庁のサイトに令和3年改正消費税経理通達関係Q&A(令和3年2月)が掲載されました。

令和5年10月1日から始まる適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されるにあたり、具体的な事例に関して改正後の消費税経理通達を基に、法人税の所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いをまとめたもの、とされています。

僕をはじめ太陽光発電事業者の多くは個人事業主の免税事業者*1という立場も少なからずいます。
インボイス制度が始まると、免税事業者は消費税分を支払ってもらえないのではないか?電力会社から買い取りを拒否されてしまうのではないか?という漠然とした不安がありますので、今回公開されたQ&Aをもとに考えをまとめてみたいと思います。

 

 

インボイス制度開始後は免税事業者は消費税を支払ってもらえなくなる?

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引に課税されます。
従って、太陽光発電事業者が電力会社に対して売電する際に課せられる消費税はインボイス制度の有無を問わず発生することになると理解するのが自然です。
つまり、インボイス制度が開始されたからと言って、免税事業者は電力会社からの消費税の預かりはそのまま発生し続けることになると見込まれます。

これは今回公開されたQ&Aの問2~問4から読み取ることができます。
例として問3を挙げてみます。

【問3】当社(飲食業)は、インボイス制度導入後である令和5年10月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として1,100万円を支払いました。
当社は税抜経理方式で経理していますが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

【回答】支払対価の額のうち、80万円を仮払消費税等の額として取引の対価から区分し、1,020万円を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります。

経過措置期間中(令和5年10月〜令和8年9月)に免税事業者から課税仕入れを行った場合の法人税の取扱い|国税庁

 

令和5年10月1日からインボイス制度が開始後、6年間は経過措置期間が設けられます。
それはさておき、このQ&Aからは免税事業者との取引においても、消費税が存在する
ことが前提となっています。
これこそが「インボイス制度が開始されたからと言って、免税事業者は電力会社からの
消費税の預かりはそのまま発生し続けることになると見込まれます」の根拠になっています。

インボイス制度開始後は免税事業者だと発電した電気の買取を拒否される?

契約済みの商取引を一方的に破棄されることは、常識的にあり得ないと考えますが…。
買取拒否が不安視される要因として、電力会社側の仕入れ税額控除の問題が起因していると見込んでいます。消費税の仕組みでは、二重課税が生じないように、仕入れ税額控除が認められています。

電気料金に関するお金の流れ(ざっくり)
発電者←22円/kwで買取(内消費税2円/kw)電力会社←33円/kwで買取(内消費税3円/kw)

この例では、電力会社は売上時に預かる消費税3円/kwから、仕入時に支払う2円/kwを控除した1円/kwを国に納めることになります(←仕入れ税額控除の基本)。

このとき発電者が免税事業者の場合、インボイス制度開始以降は2円/kwの部分を税額控除できなくなってしまいます(経過措置期間中の6年間は、支払った消費税額の何割
かは控除できるとされていますが、それは置いておいて…)。

この場合の法人税の取り扱いは、Q&Aの問5~問9に記載されていますが、基本的には
雑損失で処理することとされています。

【問7】当社(9月決算法人、小売業)は、全社員の慰安のため、インボイス制度導入後である令和12年9月1日に免税事業者が営む国内の店舗において飲食を行い、その対価として11万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の110分の10相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しました。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

〔支出時〕
(借方) 福利厚生費 100,000円、仮払消費税等 10,000円/(貸方) 現金 110,000円
〔決算時〕
(借方) 雑損失 10,000円 (貸方) 仮払消費税等 10,000円

【回答】申告調整は不要です。

【解説】インボイス制度導入後(令和11年10月1日以降)は、税務上は適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達14の2)。
 本事例においては、法人の会計上、1万円を仮払消費税等の額として福利厚生費と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この1万円は福利厚生費の額に算入することになります。
 ところで、本事例においては、福利厚生費の支出時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は福利厚生費の額に含めるべきものですが、ずれも当該事業年度の損金の額に算入されることについては変わりありませんので、結果的に税務調整は不要となります。

インボイス制度導入後(令和11年10月〜)に免税事業者に経費等を支出した場合の法人税の取扱い|国税庁

このことから、免税事業者から調達をする企業にとってインボイス制度はインパクトが大きく、それゆえに免税事業者が取引から締め出されるリスクが存在するのは確かです。
ただし、都度個別に契約を交わしているような場合はともかく、太陽光発電事業のように既に締結済みの契約においては、これを電力会社から一方的に破棄されるというリスクは低いのでは無いかな?と考えています。

まとめ

令和3年3月時点の考えですが、インボイス制度が開始された場合でも、免税事業者としての立場、太陽光発電事業者としてのインパクト共に、何ら変わらないと考えています(希望的観測が多分に含まれているのは否定できません)。

電気を購入する電力会社側からすると雑損失を計上することになるわけで、まだまだ予断を許すことはできませんが、これまでインボイスでどうなってしまうんだろう?と不安に思っていた僕たち零細事業者にとっては国税庁が公開したQ&Aによって少しだけ明るい兆しも見えてきたと言っても過言ではないかと思います。

免責です

税に関する情報の当不当は国税当局が判断します。
本稿はあくまでも個人としての意見を記したものに留まりますので、ご自身の担当する税務署や税理士に確認をお願いします。
もし誤りがあるようでしたら「優しく」コメントいただけると助かります(トゲトゲしいコメントは心が折れますゆえ…)

*1:今現在免税事業者というだけでなく将来的に免税事業者となる可能性がある場合を含め