太陽光発電でちょっとだけ経済的自由を手に入れてFIREを目指そう

これから産業用太陽光発電に手を出すのは危ない!と言われる2019年。そんな中で購入することとなった(購入しちゃった)太陽光発電所を夫婦二人三脚で運営していきます♪

ソーラーローン(太陽光発電のローン)を組んだときの勘定科目と仕訳②

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Let’s確定申告!もやしです。

今月始まる確定申告を前に、会計システムに入力した仕訳を見直しています。

前回は簡単に機械装置と仮払消費税に分ければよいと書きましたが、減価償却費や償却資産税のことを考えるともう少し分けて書いたほうがいいな~と思いアップデートしておきます。

 

何を分けるの?

太陽光発電所の構成要素ごとに勘定科目を分けます。

太陽光発電所は1基あたりが高額になるため、固定資産として複数年間で経費化していく必要があります(減価償却)。減価償却の期間は定められており、例えば前回の記事のように機械装置で仕訳すると17年間で償却することになります。
つまり、税抜き1,700万円の発電所を購入した場合、毎年100万円だけ経費にしていくことになります。
また、固定資産として計上した機械装置は固定資産税(償却資産税)の課税対象(税率1.2%、市町村による)ともなります。

一方で、発電設備の中には減価償却してはいけないものも含まれる可能性があるので、分譲会社から提供される太陽光発電所の見積もりの費目に応じて、勘定科目を分けて仕訳していくのが良いでしょう。

見積書上の主な費目

販社(分譲会社)から提示される見積書には、おおむね次のような項目が書かれています。
これらの中では減価償却すべきではないものも含まれているので、もし販社さんから「発電設備一式」などひっくるめた見積もりしか入手できない場合は、明細が欲しいと伝えると出てくると思います。

費目 減価償却 勘定科目 摘要欄
①太陽光パネルやパワコン・架台、電線類や工事費用 する 機械装置 発電設備一式
②土地代(売買の場合)や土地造成費 してはダメ 土地 土地
③フェンス する 構築物 フェンス
④監視装置代やその取付費用・設定費用 微妙 微妙

監視装置

⑤電力会社への連携負担金 減価償却ではない 繰延資産 連携負担金
⑥謎のFIT権利金 減価償却ではない 営業権 FIT権利金
⑦値引き    

 

仕訳時に注意すること

土地の造成費用は注意が必要

一般的に土地の造成費用は土地の取得費用に含めることとされています。
一部の情報では、事業に必要な工事である場合は構築物等の取得価額に含めることができる、つまり機械装置勘定に含めて仕訳できるように記載されています。
どうすべきかはご自身のお住いの税務署や、担当の税理士に確認してください。

なお、今年発行された日税メルマガでは次のように書かれています。
https://www.nichizei.com/nbs/wp/wp-content/uploads/mail_bn/zeim200116.pdf

ご質問のケースにおける土地の整備作業の伐採・伐根・地ならし等は、太陽光発電パネルを設置するための敷地に係る整地工事ということですが、たとえ土地に係る借地権の取得を伴わない場合であっても、土地について支出された整地費用の額5千万円が、土地を賃借して利用するために支出されるものである限り、借地権の取得価額に算入すべきと考えられます。
(中略)
その整地工事が、太陽光発電パネルを設置する敷地の用に供するために通常要する工事にすぎず、「専ら太陽光発電設備の設置のために特別に要する工事」と認められない場合には、太陽光発電設備の取得価額に算入するのではなく、その整地工事費用の全額を、土地の取得価額(賃借した土地の改良のために要した費用である場合は借地権の取得価額)に算入するのが相当と考えられます。
また、太陽光発電設備は、建物や構築物ではなく原則として機械及び装置等に該当することから、太陽光発電設備を設置するための土地の利用に際しては、基本的には物品置場や駐車場等として土地を更地のまま使用する場合と同様に「通常権利金を授受しない土地の使用」として、借地権の設定に伴う権利金の認定課税等は行われない(法基通13-1-5)ものと解されます。
(後略)
日税メルマガ通信 特別号 2020年1月16日発行

僕の場合、税務署の担当者もどっちだろうね…と頭をひねっていました。
そこで、⑦の値引きが土地造成費に該当する旨を販社さんに見積もりに追記してもらうことで、そもそもをゼロとして計上しないでおくこととしました。

耐用年数の違いで「発電設備」「フェンス」「監視装置」は分ける

固定資産には耐用年数が定められており、発電設備は17年間に分けて費用化します。
一方でフェンスは構築物として10年間で費用化します。
仕訳上は1つの勘定にすることもできますが、後々のことも考えて分けて仕訳しておくとごちゃごちゃにならず良いかと思います。

また監視装置は一般的に10年分の通信料込みの価格になっていると思います(しかも危機代と通信費で別明細にしてくれない)。
この場合、カメラとして5年償却とするか、通信機器(ルーター)として10年償却とするか、発電設備と一体のものとして17年償却する、といった考え方があるため、どうすべきかはご自身のお住いの税務署や、担当の税理士に確認することになります。

僕の場合ですが、これまた税務署の担当者さんから『設備に含めておけば間違いないよ』とのアドバイスで、機械装置で仕訳けています(100万円以上もする装置ではないので、あまり厳密じゃないみたい)。

連携負担金は固定資産じゃなくて繰延資産

電力会社の電気供給設備に、自身の太陽光発電設備を接続(系統連系)するにあたり、電力会社に連携負担金(連携工事負担金)を支払う必要があります。この工事負担金は固定資産ではなく繰延資産として一定の期間に按分して経費に計上します。

太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて|国税庁

当該連系工事負担金は、繰延資産に該当します。また、その償却期間は15年として差し支えありません。
(中略)
なお、連系工事負担金の償却期間について、例えば、電力会社との契約における受給期間とするなど、発電事業者が償却期間を合理的に見積もっている場合は、当該期間によっても差し支えありません。
(中略)
また、繰延資産として支出する金額が20万円未満である場合には、その支出の日の属する事業年度において損金経理をした金額は損金の額に算入することとされています(法令134)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/06/06.htm

新築の太陽光発電所の場合、15年か20年で費用化すればよいということですね。

FIT権利金

分譲太陽光発電所の見積もりでは、電力会社の連携負担金の他に、販社が独自に設定しているFIT権利金なる項目が含まれている場合があります。14円案件なら100万円、18円案件なら150万円・・・といった感じの項目です。
太陽光発電に係る権利ものなので連携負担金と同様に15年とか20年で償却するのかと思いきや、こちらは「営業権」として5年間で償却していくことになります。

太陽光発電所が連携した際の仕訳はこうなる

以上をまとめていくと、税抜2,000万円の発電設備を購入した場合の仕訳は以下のようになります。金額は例なので実際に仕訳する金額はお手元の見積書の金額にしてみてください。

借方 金額 貸方 金額 摘要
土地 1,000 長期借入金 220,000 2号基用地
機械装置 16,000     2号基発電設備
構築物 1,000     2号基フェンス
繰延資産 1,000     2号基連携負担金
営業権 1,000     2号基営業権
仮払消費税 1,900     仮払消費税


この仕訳のあと、会計システムに固定資産登録をしておきます。
もっとも、いちいちパネルがいくらで工事費がいくら…といった明細書のように登録する必要はなく、上記の仕訳(償却期間と固定資産区分≒勘定科目)ごとに登録しておくだけです。これで、決算時にボタン一つ(システムにも拠る)で減価償却費を計算してくれるようになります。